亀の歩みですが、お店の刺し子はここまで進みました。
最後の斜め方向を刺し始めると、柄が一気に浮かび上がり、頑張って刺したご褒美のよう。
先日刺し子の糸やふきんを見に、ご来店くださったお客様。
そのお客様はご結婚される際、お母様から沢山の手縫いの刺し子ふきんをプレゼントされたそうです。
お店にも並ぶ本『嫁入り道具の花ふきん教室』にも秋田県に続いていた伝統として、こう書いてありました。
“かつて、嫁ぐ娘の幸せを願い、さらし木綿に祝いの模様を刺し子で施したふきんを持たせる風習がありました。”
また、著者の近藤陽絽子さんと花ふきんを紹介した『暮しの手帖 第四世紀65号』には、こうあります。
“母親は、娘を授かったときから心づもりをして、何十枚もの花ふきんを縫い溜めたといいます。”
多多にご来店くださったお客様のお母様は北海道ご出身とのことでしたが、東北地方や北海道にかつて根付いていた文化なのでしょうか。
美しく、ちょっと切なさもある、母娘の時間を纏った文化。
私も心に留め、少しずつ縫っていきたいなぁと思います。
今日はもう一つ。
昨日アトリエをご利用くださったお客様が続けていらっしゃる、手仕事をご紹介させてください。
青森県八戸市の伝統玩具、八幡馬です。
八戸市にお住まいのお父様が八幡馬を作る職人さんでいらして、娘さんでいらっしゃるお客様も大学を卒業された後、松本技術専門校で木工を学び、現在、お父様が手掛ける八幡馬よりも小さなサイズのものを、松本市で作っていらっしゃるそうです。
手に乗るこちらの八幡馬は、高さ3cm。
あまりの可愛らしさに、ため息が出ました。
身体は朴の木や青森ヒバで、真っ直ぐピョーンと伸びる立髪と尻尾は麻で作っているそうです。
昔八戸では、装束で飾った馬に花嫁さんが乗り、輿入れが執り行われたそうです。
八幡馬の人形は、その盛装と、身体に付けていた鈴を表した水玉模様で飾られています。
子どもの成長を願う人形として、また、結婚や卒業などの慶事のお祝いの品として愛されている青森県の伝統工芸品。
お客様である優子さん @chiisaiyawatauma とお父様の八幡馬は、青森県八戸市の櫛引八幡宮の例大祭やお土産物店で買えるそうです。
櫛引八幡宮には国宝の鎧も展示されているとのこと。
旅したい場所が、また一つ増えました。